ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

「アルギニンとプロリンの豊富な食事は、糖尿病による外傷の治癒を促進する」

 2012年11月15日のエウレカラートサイト(http://www.eurekalert.org/pub_releases/2006-01/osu-seh010306.php)では、上記の論文が紹介されていました。
 パリ第5大学(=パリ・デカルト大学)などの研究者たちによる研究結果です。
 まずアルギニンとプロリンですが、天然に存在するアミノ酸です。肉類、ナッツ、大豆、玄米、レーズン、エビ、牛乳などのたんぱく質を含む食品に多く含まれています。

 そして次に糖尿病による外傷ですが、これは主として足の潰瘍を指しています。典型的な合併症の一つです。動脈硬化で足に流れる血流が悪くなったり、自律神経の異常に伴い血流を制御出来なくなったり、足に傷ができても神経の異常の為に気がつかず放置してしまい潰瘍が生じます。私のマンションの友人はかなりの糖尿病で、外出から戻り玄関で靴を脱いだつもりが全く気付かず、家の中で靴を履いたまま歩き、やっと気づく有様です。
私の場合は左足小指にしもやけが出来るので注意しています。そしてこの潰瘍の箇所からばい菌が入ると、そこに壊疽が生じ、治療を受けない場合死亡率が高く、そうでなくても足を切断しなければ助かりません。だから糖尿病は恐ろしい病気です。
 これまで有効な治療法が確立していませんでしたが、今度の新しい研究は希望を提供します。
 実験には糖尿病のラットが用いられ、研究者たちはアルギニンとプロリンを含む高たんぱく食を摂取させる群と、標準のたんぱく食か、アルギニンとプロリンを補給しない高たんぱく食を摂取させる群に分けて観察しました。18匹ずつのラットをこの3群に分けて実験が行われました。或る箇所を切開し、そこにスポンジを置いて傷修復の為の液を吸い取らせて集めました。
 また皮膚の再生を評価する為、背中の皮膚の全層も2か所切除して、実験の終わる5日間調べました。
 5日後、ラットの血糖値、インスリンアミノ酸濃度が分析されました。背中の傷も新しい血管の再生と発達があるかどうか調べられました。最後にスポンジからマクロファージ(*白血球の1つで免疫システムの一部を担うアメーバ状の細胞。生体内に侵入した細菌、ウイルス、又は死んだ細胞を捕食し消化)も集められ、サイトカイン(*免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするもの)刺激と、炎症促進活動の効果が分析されました。
 その結果アルギニンとプロリンを補給しない高たんぱく食のラットは、標準のたんぱく食のラットより窒素平衡(*病態や損傷によるたんぱくの消耗があると、負の窒素バランスとなります)が良かったのですが、アルギニンとプロリンを補給した高たんぱく食を与えたラットは、5日目に新しい血管の成長が、もっと多く見られました。この新しい血管は傷の治癒の為に不可欠です。その血管が成長している組織に栄養と酸素を供給するからです。
 さらにアルギニンとプロリンを補給した高たんぱく食の群は、他の群に比べサイトカインの刺激が少なく、炎症促進活動も少なかった事が分かりました。それは傷の治癒を促進するのによい状況です。しかし今回皮膚の再生では各群での優位な差は見られませんでした。研究対象のラットの数が少なかったからでしょう。
 この研究は慢性的な外傷を抱えている糖尿病患者への効果的治療の為に、新しい希望を与えるでしょう。
 聖書にも足の病気にかかった王が登場しますが、すぐに死亡しています。もしかしたら糖尿病合併症だったかも知れません。
 「それから、アサはその治世の第三十九年に、両足とも病気にかかった。彼の病は重かった。ところが、その病の中でさえ、彼は【主】を求めることをしないで、逆に医者を求めた」(歴代第二16:12)。