遺跡の発掘
「天の御国は、畑に隠された宝のようなものです。人はその宝を見つけると、それを隠しておいて、大喜びで帰り、持ち物を全部売り払ってその畑を買います」(マタイ13:44)。
2013年3月5日、千葉県市川市の古くから知られた貝塚の近くに、ス-パー銭湯が出来るという事で発掘調査の対象となり、出かけて来ました。予定は10日ほどです。
昨日ユンボが入って表土を剥いでくれましたので、後は決まった区画の中で、昔の住居址などを探す作業です。
午前の調査では左の写真のような遺構が見つかりました。細長く見えているのが、掘ってみないと分からない溝です。左の人が立っているあたりの小さな円囲みの中に大きなハマグリが数個見つかっています。手前の右は住居址が2つ、右側のほうが新しく、左側のを切って作られたようです。
まずそう見極めてから石灰を撒いて写真を撮りました。
次はその溝掘りです。土がどう中にたまっているか見る為に、幾つか小区画を作り、残りを掘りぬいて行きます。
結果はほぼU字状の溝で、関東ローム層の黄色の土の底の部分が黒い土で固められており、何らかの通路であった事が想定されます。 それから最初の写真の左壁際にあった貝(ハマグリ)の様子を調べて行きます。まずは周囲をきれいにして、写真撮影。デジカメはほとんど使わず、35ミリの本格的なアナログで撮影します。重要なものが出た場合は、大型カメラで撮る時もあります。
このハマグリはどうもこの地元市川ではなく、千葉の鹿島あたりから運ばれたのではないかという専門調査員の推定もされています。
勿論分析してみないと分かりませんが、考古学ではそうした細かいところも後で調べ、調査報告書に纏めます。
その後調査区域の西側壁の土層の重なり具合を調べ、そのセクションを図面に記録して行きます。大きな土器片はまだ出ていません。
上の写真にあった2つの重なった住居址を掘り始めるところで、本日の作業は終了しました。
この中から何が出て来るかは明日の楽しみです。なお右の奥の丸い黒土の入った穴は、掃除中に新たに見つかったものです。それも掘りますが、住居址の柱穴となっても、住宅地の道路と家にまでかかるかもしれませんから、今回は記録だけです。さらに掘ってみないと分からない箇所も若干あります。その判断は難しく調査主任の判断に委ねます。先土器時代の遺物はまず出て来ないでしょうが、土層の確認の為、2×2メートルの四角い穴をさらに1メートル位掘り下げる事になっています。
というわけで忙しい毎日となりそうです。ブログの更新はたぶん間に合うとは思います。